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メイスの取り扱い 時に戦士は、メイスにはなんの戦術も必要ないと考えるという過ちを犯す。彼らは剣こそ技術のすべてであり、メイスは腕力とスタミナのみであると決め込んでしまう。メイス戦術の熟練指導者として言っておこう、彼らは間違っていると。 正しくメイスを使うには、タイミングと勢いがすべてである。メイスの一振りが始まると、止めるのも速度を落すのも難しい。戦士は打撃だけではなく、その反動にも全力を出さねばならない。敵が前のめりになっているとき、そしてできれば体勢を崩しているときに攻撃を開始すること。敵が後ろに反ることは容易に想像できるので、敵の頭の後ろを狙うこと。メイスがそこにたどり着く頃には、彼の頭がメイスの軌道上にあるであろう。 メイスは肩の高さで構える。攻撃前の巻き上げは、肩から手の幅の距離以上は持ち上げないほうがよい。振り下ろすときは、肘を先行させること。肘が鎖骨の高さを超えたところで、前腕を鞭のように伸ばす。加算された勢いがメイスをさらに早く、さらに強く動かし、遥かに多くのダメージを与えるであろう。 衝突する瞬間、手首の力を抜くこと。メイスは跳ね返り、硬い手首を痛めてしまう。打撃の反動を使ってメイスを構えの位置に戻す、それによって戦士は素早い2撃目の準備ができる。 兵法・戦術 茶4
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バルトロメ バルトロマイの別名。
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ウェブリビオン C 水文明 (3) コラボ・クリーチャー:トリックス/スペシャリスト 4000+ ■自分の手札に2体のコラボ・クリーチャーが揃っていれば、それらを合体させ、2体の合計コストを支払って召喚してもよい。合体したクリーチャーが離れる時、かわりにその合体を解除する。 ■このクリーチャーが攻撃する時、自分はカードを1枚引いてもよい。 ■パワード・ブレイカー(このクリーチャーは、そのパワー6000ごとにシールドをさらに1つブレイクする) 作者:wha + 関連カード/7 《ツイート》 《「百全の備え 品紅」》 《水中の優美 シュビドゥビ》 《ウェブリビオン》 《ズーラビ・シヴィリ》 《U・S・A・DASH》 《ライマー・ムー》 カードリスト:wha 評価 名前 コメント
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オブリヴィオン(oblivion)は、英語で「忘却」、「無意識の状態」、「大赦」という意味。オブリビオン。 参考Webリンク oblivion - ウィクショナリー日本語版 oblivion - Wiktionary 作品 パズル ドラゴンズ オブリビオンノヴァ タグ 英語
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バルトロメオとは 海賊団「バルトクラブ」船長。 通り名は”人食いのバルトロメオ”。 懸賞金1億5000万ベリー。 バリバリの実の能力者でバリア人間。 ローグタウンで処刑から助かったルフィを見て海賊になった。(巻七十二第720話”囚人剣闘士”) イカレた超新星(ルーキー) ドレスローザのコロシアムでは、海賊達の「串焼き映像配信事件」、善良な市民への「砲撃放火」などから「今最も消えて欲しい海賊」No.1と紹介された(巻七十一第706話”お前を笑わない”)。 コロシアムでは試合中にアレを露わにし用を足し、「快感」と発言(巻七十一第708話”曲者達のコロシアム”) 謎 コロシアム内で持ち歩いているケースの中身 元となった海賊はBartholomew Roberts(バーソロミュー・ロバーツ)?Bartolomeo Portugues (バルトロメオ・ポートガス)?ポートガス、メラメラの実を狙うことから後者が有力か。(Bartholomewはイタリア語風に読むとバルトロメオ) Bartolomeo Portugues (バルトロメオ・ポートガス)がバルトロメオの元ネタであれば、エースとの関連は。 バルトロメオとバーソロミューがほぼ同じ綴りであることから、バーソロミュー・くまとの関連はあるのか。 バルトクラブ 海賊団の名前は「バルトクラブ」で海賊団がつかない。 エースの「スペード海賊団」、トラファルガー・ローの「ハートの海賊団」と同じようにトランプに用いられる”クラブ”が使われていることから、エースやローと同程度の重要なポジションに位置するのでは?という予想も。
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人類の誕生以前 シムレーンのアイカンター 著 人類がタムリエルを支配するようになる前、または歴史学者たちがタムリエル支配者の出来事を記録した年代記より以前の世界の出来事は、神話や伝説を通して、もしくは神々しくも見事な九大神教団の教義を通してでしか知ることができない。 便宜上、歴史学者たちは先史以前をさらに2つの長い期間に分ける── 深遠の暁紀、そして神話紀である。 深遠の暁紀: 深遠の暁紀は人類の始まる前の、神々の偉業が起こっていた時代である。深遠の暁紀は、アダマンチンの塔を設立しようとする世界から神々と魔法が大量に集団流出して終焉を迎えた。 “Merethic”という言葉は、ノルド語の文字通り「エルフの時代」から来ている。神話紀とは、アダマンチンの塔を設立する世界から神々と魔法が大量に集団流出した後から、タムリエルにノルドのイスグラモルが出現するまでの先史時代である。 この後は深遠の暁紀でもっとも目を引く出来事、つまり我々のような時代の産物とされる生き物の出現が起こることになる。 宇宙はアヌとパドメイのオルビス(混沌、もしくは全体)から形成された。アカトシュ(オリエル)が生まれ、「時」が始まった。神々(霊)が生まれた。ロルカーンは神々を説き伏せ──もしくは欺き─ 定命の次元、ニルンを創造させた。定命の次元はこの時、魔力の高い危険な場所であった。神々が歩くと、定命の次元と永続する全存在物そのものが不安定となった。 「定命の世界」を設計する建築家、魔法(マグナス)はその計画を終結させることを決め、神々はアダマンチンの塔(ディレニスの塔、タムリエル最古の建造物)に集結し、なにをすべきかを決めた。魔法が世界を終結させると、ほとんどの神はこの地を去った。残ったものは自分自身をほかのものへと形成し、現在もその地(エールノフェイ)に留まっている。ロルカーンは神々から非難を受け、定命の異世界へと追放された。彼の心臓は引き裂かれ、アダマンチンの塔から投げられた。そのかけらが地に降り立つと、火山が出来上がった。魔法(深遠の感覚能力)により、宇宙は安定された。そこから最終型である11の歴史が始まった(神話紀2500年)。 神話紀: 初期のノルドの学者によって、神話紀の年月は「時の始まり」── キャモラン王朝の設立、第一紀の0年度と記録される── から後方へと逆順することが解明された。神話紀に起こった先史の出来事は、彼らの伝統的なノルドのエルフ日付で記されている。ハラルト王の学者たちによって引用されるもっとも最初のエルフ日付は神話紀2500年である。これをノルド人は最初の年とみなしている。このように、神話紀は一番古い年である神話紀2500年から神話紀1年── キャモラン王朝設立の1年前、独立する都市国家として白金の塔を設立── まで続いた。 ハラルト王の吟遊詩人によると、神話紀2500年にはハイ・ロックのバルフィエラ島にタムリエル最古の建物として知られるアダマンチンの塔の建設が始まった(これは数々の未未発刊のエルフ年代記に記されている、歴史的には大体最古の日付である)。 神話紀初期には、タムリエルの先住民にあたる獣人── カジート、アルゴニアン、オークそのほかの獣人の祖先── がタムリエルのいたる所、文字を持たない社会で生活していた。 神話紀中期には、アルドメリ(エルフの始祖である人間)の難民が、破綻の運命に追いやられた今はなきアルドメリ大陸(「旧エールノフェイ」としても知られる)を去り、タムリエル南西部へと移り住んだ。最初の居住地はタムリエルの海岸線に沿って、広い間隔を取って形成された。後に、タムリエル南西部と中心の方の肥沃な土地に最初の内陸集落が見つかる。獣人がエルフに遭遇し、その洗練された、教養のある、科学的にも発展したアルドメリ文化は、原始的な獣人をジャングルや沼地、山、荒地へと追いやった。アダマンチンの塔は突出して強大な力持つアルドメリ一族のディレニに再発見され、支配された。サムーセット島に水晶塔が建てられ、のちに、シロディールの白金の塔となった。 神話紀中期には、アルドメリの探検家がヴァーデンフェル海岸の地図を作り、第一紀にはハイエルフのウィザードの塔をモロウウィンドのアルド・ルダイニア、バル・フェル、テル・アルーン、テル・モラに建てた。白金の塔(現在のシロディール)のまわりのジャングルにアイレイド(野生のエルフ)の集落が栄えたのもこの時代であった。ハートランドハイエルフとしても知られる野生のエルフは、深遠の暁時代の魔法やエールノフェイの言葉を維持した。表面上、アリノール高王へ捧げられた土地であったが、サムーセット島の独立国とハートランドの長きにわたる関係が、事実上、シロディールを水晶塔にいる高王から引き離していた。 神話紀中後期は高貴なヴェロシ文化の時代であった。現代のダンマーやダークエルフの祖先であるチャイマーは、力強く、野望に満ち、長命なエルフの一族であって、原理主義な祖先崇拝を信奉していた。チャイマー一族は預言者ヴェロシに従い、南西部にあった代々受け継いだエルフの祖国を離れ、今のモロウウィンドに当たる土地に移り住んだ。チャイマーは現世的な文化やドゥーマーの俗悪な慣習を嫌い、またドゥーマーの土地と資産を欲しがったため、何世紀にも渡って小競り合いや領土争いが起こった。自由な発想を持ち、人里はなれたところに住むエルフ一族のドゥーマー(ドワーフ)は科学の謎や工学技術、錬金術に力を注ぎ、現代のスカイリムやモロウウィンドから離れた山脈(のちのヴェロシ山脈)に地下都市や地域社会を築き上げた。 神話紀後期はヴェロシ文化の急落が目立つ。ヴェロシの中には、傾き、放置された古代ヴェロシ塔のそばにある村に移り住むものもいた。この時代、ヴァーデンフェル島からヴェロシの文化は消え去った。ドゥーマーの初期のフリーホールド植民地国家がこの時代から起こり始める。堕落したヴェロシは部族文化へと移行し、やがて現代のモロウウィンドの王宮へと発展し、一方では野蛮なアシュランダー種族へと存続していった。この種族文化が唯一残したものは、ばらばらに崩壊したヴェロシ塔とヴァーデンフェル島のアシュランダー遊牧民である。タムリエルの海岸に沿って建てられた、第一紀ハイエルフウィザードの塔もまたこの時代に打ち捨てられることになった。 またこの頃、文字を持たない人々、いわゆる「ネディックの人々」がアトモラの大陸(アルドメリ語で「アトモラ」、もしくは「エルダーウッド」)から移住して、タムリエルの北部に定住した。ノルドの英雄、タムリエルへの巨大植民地軍の先導者であるイスグラモルはエルフ理念に基づいてノルド語のルーン文字を翻字、発展させたことで高い評価を得ている。またイスグラモルは人類初の歴史学者とも考えられている。イスグラモルの軍はスカイリムのブロークン・ケイプの最北端にあるヒサアリク・ヘッドへと上陸した。ノルドはそこに伝説都市サールザルを建てた。エルフは人間を「涙の夜」の時に追い出したが、イスグラモルはすぐに500の仲間を引き連れて戻ってきた。 神話後期にはまた、伝説となった不死の英雄で、戦士で、魔術師で、国王である、ペリナル・ホワイトストレーク、ハラルド・ヘアリー・ブリークス、イスミール、ハンズ・ザ・フォックスなどの名前で知られる人物が、タムリエルをさまよい歩き、武器を集め、土地を征服していき、統治し、そのあと自ら築いた王国をぶち壊し、再びさまよい歩くのであった。 歴史・伝記 茶2
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種族別の系統発生論および生物学 第7版 帝都大学治癒師会 著 治癒師会では、遠い昔に生体標本を使った分析をおこない、その結果、全ての人間やエルフの「人種」は互いに交配可能であり、繁殖可能な子を産むことができるという結論に達した。通常、子は母親の人種的特徴を受け継ぐが、部分的に父親の特徴が現れることもある。カジートやアルゴニアンと、人間やエルフが交配可能かどうかはわかっていない。これら異種間交配やデイドラとの交配で子が生まれたという報告は時代にかかわらず数多く存在するが、信用に足る記録は残されていない。カジートと人間、およびエルフとの違いは骨格や皮膚にとどまらず(カジートは「毛皮」で全身が覆われている)、代謝系や消化器系にまで及ぶ。アルゴニアンは、ドゥルーのような半陸半水生の人間型生物とされているが、アルゴニアンの生物学的分類がドゥルーなのか、人間なのか、エルフなのか、それとも先人の考えたようにブラック・マーシュの木に住むトカゲに近いのかは不明である。 オークの生殖については不明な点が多い。また、ゴブリン、トロール、ハーピー、ドゥルー、ツァエシ、イムガ、デイドラなどについても同様である。強姦や魔術での幻惑によるこれらの「人種」間の性交の例があるのは事実である。しかし、それらによる妊娠は報告されていない。また、これらの生物と文明を持つ人型生物との間の交配の可能性については検証されていない。これは文化的な差異が大きすぎるためであると思われる。つまり、オークによって妊娠させられたボズマーやブレトンは恥を恐れて事実を隠すし、人間の子を妊娠したオークもまた彼女らの社会から追放されると考えられるのである。我々は治癒師であり、残念ながら科学的検証のためにこれらの人種を強制的に交配させるということはできない。しかし、スラスやスロードは幼生時は両性具有で、陸上を動き回れるほどに成長して初めて雌雄どちらかの生殖器を持つようになるという点については確証がある。このため、これらの種と人間やエルフとの交配は理論上不可能であると言える。 これらの「人種」の分類についても疑問は残る(人種というのは不適切ではあるがわかりやすい用語なのでここでも誤解を恐れずに用いる)。人種の特徴そのものが「地の骨」を操作する魔術的な実験の過程で作り出された共通の特徴や相違点などによるものなのか、世代を経ての段階的な変化によるものなのかという問題にはまだ結論が出ていないのである。 生物学 茶3
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オルシニウム陥落 メニャヤ・グソスト 著 時は第三紀399年、メネヴィアとウェイレストに挟まれた広大な土地を見下ろす山腹に、立派で博学な裁判官がいた。法を遵守する公平なる仲裁者であり判事であった。 「とても説得力のある土地所有権の申し立てですな」と、裁判官は言った。「嘘ではありませんよ。しかしながら、競合者のかたの主張ももっともです。この仕事で頭を悩ませるのはこういうときなのですよ」 「そいつを競合者と呼ぶのですか?」ボウイン卿はせせら笑いながら、オークのほうを身振りで示した。ゴルトウォグ・グロ・ナグロムと呼ばれているその生物は、悪意に満ちた視線を投げ返した。 「土地所有権を主張するに足る書類はそろっていますからな」裁判官は肩をすくめた。「それに、わが国の不動産法は特定種族を差別いたしません。何世紀も昔のことですが、ボズマーの摂政時代もありましたな」 「ならば、豚や怪魚が所有権を訴えてきたらどうされるのです? 彼らにも私と同様の権利があると?」 「しかるべき書類がそろっていれば、そういうことになるでしょうな」裁判官は笑みを浮かべた。「複数の請求者に同等の所有権があるとされ、膠着状態になったときは、決闘で勝負をつけよと法はうたっております。なんとも時代遅れな法かもしれませんが、繰り返し検分してみたところ、現在においても有効とされるのです。帝都評議会のお墨つきで」 「どーしたらよいですか?」オークは低いしゃがれ声で訊いた。シロディールの言葉には不慣れらしい。 「第一の請求人、ゴルトウォグ卿は、決闘人の武器と鎧を選んでください。第二の請求人、ボウイン卿は決闘の場所を選んでください。チャンピオンを代理に立てるもよし、みずから戦うもよしです」 ブレトンとオークは互いの顔を見合わせて吟味した。ようやく、ゴルトウォグが口を開いた。「ヨロイはオークのヨロイ、武器はどこにでもあるハガネのチョー剣。魔法はナシ。妖術もダメ」 「決闘地はウェイレストにいるわがいとこ、ベリルス卿の宮殿の中庭としよう」と、ボウインは言った。軽蔑の眼差しをオークに向けながら。「オークの立会人は認められないものとする」 こうして話がついた。ゴルトウォグはみずから戦うと宣言し、まだ若く、社会的地位もあるボウインもまた、みずから戦わなければ面目を保てないと思っていた。そうはいっても、決闘の予定日の一週間前にいとこの宮殿にやってくると、稽古の必要性を感じた。オークの鎧一式を購入すると、ボウインは生まれて初めて、けた外れに重いうえに融通のきかないものを身にまとった。 ボウインとベリルスは中庭で手合わせをした。10分もすると、ボウインはいったん稽古を中断した。鎧を身につけて動いているうちに顔が上気し、息が切れた。彼の憤りに油を注いだのは、一発のパンチもいとこに当てることができず、自分は見せかけのパンチを何発も食らっていたことだった。 「どうしたらいいんだ」と、夕食どきにボウインは言った。「あの鋼鉄のモンスターを装備してまともに戦える誰かが見つかったところで、決闘に送り込んでゴルトウォグと対戦させるわけにはいかない」 ベリルスは同情した。奉公人が皿を片づけると、ボウインは椅子から立ち上がってそのうちのひとりを指差した。「オークが家にいるなんて聞いてないぞ!」 「ワシでしょうか?」その年寄りは情けない声で言った。ベリルス卿のほうを向いて、場の雰囲気を乱してしまったと恐縮していた。 「タナー爺のことか?」ベリルスは笑った。「昔からわが家に仕えてるんだ。どうすればオークの鎧を着こなせるのか、稽古をつけてもらったらどうだ?」 「いかがいたしましょうか?」タナーはへつらうように訊いた。 ベリルスもこのとき初めて知ったのだが、この奉公人はかつてハイ・ロックの伝説的な“呪いの軍団”に参加していたことがあった。タナーはオークの鎧の着こなしを知っているのみならず、家事手伝いをするようになるまでは他のオークの訓練師として活躍していたのだった。わらにもすがる思いだったボウインは、その場で彼を正式な訓練師として雇うことにした。 「力みすぎですな」訓練初日、闘技場でタナーは言った。「重たい鎧を着ていても意外と楽に動けるものですよ。関節はわずかな力で曲がるようにできています。無理に関節を動かそうとすれば、敵と戦うときまで力は残らないでしょうな」 ボウインはタナーの指導に必死でついていこうとしたが、たちまちいらつきだした。しかもいらつけばいらつくほど余計な力が入ってしまい、あっという間に疲れてしまうのだった。休憩して水を飲んでいるあいだ、ベリルスがタナーと話をしていた。ふたりの顔は、ボウインの勝利を楽観視しているふうには見えなかった。 それからの二日間、タナーはボウインを厳しく鍛えた。が、奥方であるエリソラの誕生日とかち合ってしまい、結局その日、ボウインは豪華な夕食を心ゆくまで堪能した。最初のコースは、ポピーとガチョウ油の酒にヒソップのバター炒めを添えたコックティンシュ。次のコースはカワカマスのローストに、ウサギのミートボール。メインのコースはキツネの舌のスライス、バロムプリンの牡蠣油がけ、バタグリア草とバタグリア豆。デザートはコレキュイヴァのアイスと砂糖のフリッター。食事を終えると、ボウインはぐったりと椅子にもたれかかった。と、ゴルトウォグと裁判官が部屋に入ってくるのが見えた。 「何しにきたのですか?」と、ボウインは叫んだ。「決闘まではまだ二日あります!」 「ゴルトウォグ卿が、決闘の日取りを今夜に変更したのですよ」と、裁判官は言った。「おととい私の使者を送ったのですが、あなたは訓練の最中でした。それでも、いとこのベリルス卿が代理で話を聞いて、日程変更に同意されたのです」 「しかし、後援者を召集する時間もありません」ボウインは不満をもらした。「それに、小柄な男なら殺せてしまえそうなほどのご馳走をたらふく食べたばかりなのです。ベリルス、そんなに大事なことをどうして教えてくれなかった?」 「タナーと相談したんだ」と、ベリルスは言った。いとこを欺いてしまったせいか、顔を紅潮させていた。「こういう状況のほうが、おまえは力を出し切れると考えたんだ」 闘技場での決闘はまばらな観衆の中で行われた。食事で満腹だったため、ボウインはとても軽やかに動けそうもないと感じていた。驚いたことに、鎧は彼の倦怠感をくみとったかのように、よろめきに合わせて滑らかで優雅な動きを披露してみせた。動きのこつをつかんでいくにつれて、ボウインは体ではなく心で攻めたり守ったりできるようになった。生まれて初めて、ボウインはオークの兜越しにものが見えるようになった。 もちろん、ボウインは負けた。採点されていたとしたら大差がついたはずだった。ゴルトウォグにはお手のものの戦いだったのだ。が、ボウインは裁判官がためらいがちに勝者を告げるまで、三時間以上も戦いつづけてみせた。 「この土地は、ソセンの土地にちなんでオルシニウムと名づけます」と、勝者はそう言った。 ボウインがまず思ったのは、どのみちオークには負けるのだから、大勢の友人や家族の目の前で戦わなくてよかったということだった。中庭をあとにして、夜の早いうちから望んでやまなかったベッドに向かおうとしたとき、ゴルトウォグとタナーが話しているのが目に入った。言葉は理解できなかったが、二人は知り合いのようだった。ボウインはベットに寝転がると、奉公人に老オークを呼びに行かせた。 「タナー……」と、彼はおだやかに言った。「ざっくばらんに答えてくれ。ゴルトウォグ卿に勝たせようとしたな」 「ずばりでございます」と、タナーは言った。「だが、あなたは健闘された。二日後に戦ったとしてもこうはいかなかったでしょう。私はですね、戦わずしてオルシニウムが奪われるのは我慢ならなかったのですよ」 物語(歴史小説) 茶4
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現代の異端者:帝都内のデイドラ信仰の研究 ゴトルフォントのハデラス 著 シロディール内ではデイドラ信仰は法で禁じられてはいない。これは主に、デイドラの召喚を許可するために帝都が魔術師ギルドに大して認めた特権の結果といえる。にもかかわらず、聖職者および一般大衆からのデイドラ信仰への風当たりが非常に強いため、デイドラ関連の儀式を行う者たちは秘密裏に活動している。 一方で、諸地方に目を向けてみるとデイドラ信仰に対する見方は様々である。シロディール内でも年月と共に伝統的な世論に少なからぬ変化が見られ、デイドラを信仰する集落も存在している。伝統的なデイドラ信仰を志す者には信仰心や個人的な信念を動機とする者がいるのに比べ、現代的なデイドラ信者の多くは魔法的な力を目当てにしている傾向がある。とりわけ冒険家と呼ばれる人種は、伝説に名高いデイドラの秘宝の武器としての、もしくは魔法的な利点を追い求める傾向にある。 筆者自身も、暁と宵の女王であるアズラを信仰する一団と遭遇している。デイドラ信仰に興味をもつ研究者は複数の方法で調査を進めることができる。既存の文献の研究、古代のデイドラの祠の探索および発見、各地の情報通からの聞き取り、そして信者そのものからの聞き取りなどが挙げられる。筆者自身はアズラの祠を発見する際にこれらの手段を 全て用いている。 筆者は最初に文献を紐解くことにしている。本書のような解説書からデイドラの祠に関する一般的な事情などを知ることができる。筆者が自身の研究によりシロディール内のデイドラの祠について理解している事項を例示すると、一般的に、デイドラの王の像が祠の象徴となっており、祠の位置は集落などから離れた野外にあり、各々の祠には信者の一団がついており、祠ごとにデイドラの王への嘆願などを行うべき特定の時間(週の間のある日であることが多い)が決まっており、デイドラの王は嘆願者が十分な力を有しているか、相応の人物でない限り嘆願に応じないことが多く、また返答を得るには適切な供物を捧げる必要があり(捧げるべき供物については信者の一団のみが知る秘密となっていることが多い)、そしてデイドラの王は何らかの仕事や使命を達成した冒険家にはしばしば魔力をもった秘宝を授けることがわかっている。 筆者は次の段階として、周辺地域の地理に精通している地元住民に聞き取りを行う。とりわけ得るものが多い聞き取り対象は二つあり、一つめは(移動中に祠を発見する可能性のある)旅の狩人や冒険家であり、二つめは魔術師ギルドの学者たちである。アズラの祠については、どちらの対象も有益な情報源となってくれた。旅路の途中で奇妙ながらに雄大な彫像を見かけたというシェイディンハルの狩人によると、像は両腕を伸ばした女性の姿をしており、片方の手には星を、他方の手には三日月を持っていたとのことだった。祟りを恐れて像を避けたものの、その位置は記憶しており、シェイディンハルの遥か北方、アリアス湖の北西、ジェラール山地の奥深くという情報が聞き出せた。像の外観に関する情報が得られたので地元の魔術師ギルドを訪ねてみると、その外見を元に信仰の対象となっているデイドラの王の正体が特定できたのであった。 祠の位置が判明したので現地に足を運んでみると、祠の周囲に信者の一団が住みついていることがわかった、デイドラ信仰に対する風当たりの強さゆえ、信者たちは当初こそ自分たちの素性を認めたがらなかったものの、筆者が彼らの信頼を得た後にはアズラが嘆願に耳を貸す時間帯(夕暮れから夜明けまで)に関する秘密や、捧げるべき供物がウィル・オ・ウィスプから得られる「発光する塵」であることを教えてもらえた。 筆者は一介の聖職者兼学者であるため、ウィル・オ・ウィスプを発見して発光する塵を入手することはかなわなかったうえ、供物として捧げられたとしてもアズラが耳を貸してくださったかどうかは定かではない。しかし、仮に供物を捧げてアズラがそれを認めてくださった場合、筆者は何らかの使命を与えられ、それを達成できた暁には伝説的な魔力を秘めたデイドラの秘宝「アズラの星」を授かることができた可能性があったのは確かである。 筆者はその後、シロディール内に上記以外にも複数のデイドラの祠が存在すること、およびそれぞれの守護神であるデイドラの王の名、そして冒険家たちが授かりうるデイドラの秘宝に関する噂を耳にしている。狩人のハーシーンは強力な魔力を帯びた鎧である「聖者の生皮」の伝説と結びついている。魔剣「ヴォレンドラング」は妖魔の王マラキャスと関連があるらしく、守護神の名をそのまま冠した「モラグ・バルのメイス」もデイドラ信仰の対象となっているようである。シロディール内にあるこれら以外のデイドラの王の祠および信者たちについては、たゆまぬ努力を続ける探求者たちによって明らかにされていくことだろう。 デイドラの神像関連 メインクエスト関連 神話・宗教 紫1
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アルゴニアン報告 第3巻 ウォーヒン・ジャース 著 デクマス・スコッティはブラック・マーシュ南部にある徹底的に帝政化された街、ギデオンで、ヴァネック卿の建築委員会およびその顧客を代理して、地域の交易を活性化させる商取引の手はずをあれこれと整えているはずだった。ところが実際には、半分水没した腐りかけのヒクシノーグなる小村にいた。知り合いなどひとりもいなかった。シャエロ・ゲムルスという名の麻薬密売人をのぞけば。 隊商が南ではなく北に向かってしまったのにも、ゲムルスはこれっぽちも動じていなかった。しかも、村人から買い求めたバケツ一杯分のトロードなる歯ざわりのいい小魚をスコッティにも分け与えた。スコッティとしては、火を通してある状態で食したがったが。せめて死んでいたほうが。が、ゲムルスは、トロードという魚は死んでも火を通しても猛毒になるのだとのんきに説明した。 「本当なら今頃は」スコッティは口をとがらせると、のたうちまわっている小さな生物を口の中に放り込んだ。「ローストを食べているだろうに。それからチーズとグラスワインも」 「おれなんか北方でムーンシュガーを売りさばいて、南方で仕入れるけどね」と、ゲムルスは肩をすくめた。「あんたももうちょっと柔軟に考えたほうがいいぜ」 「私の仕事はギデオンにしかない」スコッティは顔をしかめた。 「まあ、いくつかの選択肢はあるぜ」密売人は答えた。「この村に残ってもいいだろうな。アルゴニアの村はたいてい、ひとところにとどまらない。だから、ヒクシノーグがギデオンの門の目の前に流れ着く可能性は大いにある。1、2ヶ月かかるだろうけど、もっとも楽ちんな方法だろうな」 「予定が大幅に遅れてしまうよ」 「なら次の方法だ。もう一度、隊商に乗っけてもらえばいい」と、ゲムルスは言った。「今度こそ正しい方角に向かうだろうし。底なし沼にはまることも、ナーガの追いはぎに皆殺しにされることも、ひょっとしたらないかもしれない」 「気乗りがしないな」スコッティは顔をしかめた。「他の方法は?」 「根っこに乗ればいい。地下超特急さ」ゲムルスはにかっと笑った。「ついてきな」 スコッティはゲムルスについて村を出ると、ひょろ長い苔のベールに覆われた雑木林に入った。ゲムルスは地面から目を離そうとせず、ねばつく泥をつついたりつつかなかったりしていた。ようやく正しい地点をつつくと、てらてらと光る大きな気泡の塊が地表に浮き上がってきた。 「完ぺきっす」と、ゲムルスは言った。「さてと、肝心なのはパニックにならないことだ。超特急は一直線に南へ向かう。冬を越すための移住だな。赤粘土があちこちに見えるようになったら、ギデオンに近いってことだ。とにかくパニックだけは起こすなよ。で、泡の塊が見えたらそれが通気孔だから、そこから外に出るといい」 スコッティはぽかんとしていた。ゲムルスの説明はまるでちんぷんかんぷんだった。「は?」 ゲムルスはスコッティの肩をつかむと、泡の塊のてっぺんに彼を押しやった。「ここに立つんだ」 スコッティはたちまちぬかるみに沈んでいった。恐怖におびえた顔でゲムルスを見つめていた。 「赤粘土が見えるまで待つんだぞ。で、その次に泡が見えたら体を押し上げろ」 脱出しようともがけばもがくほど、スコッティは勢いをつけて沈んでいった。首のあたりまで泥に埋まっていた。あいかわらずゲムルスを見つめたまま、「うぐ」という声にならない不明瞭な音だけを口から発していた。 「それと、消化されちまうんじゃないかってパニックになるなよ。根ミミズの腰の中なら数ヶ月は生きられる」 スコッティは慌てふためいて最後の空気をひと飲みすると、目を閉じ、泥の中に消えていった。 スコッティは予想外の温もりに包まれているのを感じた。目を開けると、半透明のねばねばした物質にすっぽり覆われていた。南に向かって猛スピードで移動しているのがわかった。空を飛ぶように汚泥を突っ切り、複雑に絡み合う根っこの道を軽快に跳びはねながら進んでいった。スコッティは戸惑ってはいたが、恍惚感にもひたっていた。わき目も振らずに見知らぬ暗黒世界を爆走していき、肉厚な触手のような樹木の根をかわしては飛び越えた。闇夜を舞っているような気分だった。沼地の奥深くで地下超特急に乗っているとは思えなかった。 圧倒的な根っこの集合体のほうを少しだけ見上げてみると、何かが身をよじりながら通りすぎた。長さは8フィートほど、腕がなく、足もなく、色もなく、骨もなく、目もなく、ほとんど輪郭もない生物が根っこに乗っていた。その中に、黒っぽい何かがいた。と、ぐっと近づいてきて、スコッティはそれがアルゴニアンの男だとわかった。スコッティは手を振った。すると、体内にアルゴニアンを乗せたそのおぞましいモンスターはいささか速度を落としてから、あらためて前方に猛進していった。 その光景を見るや、ゲムラスの言葉がスコッティの脳内に蘇ってきた。「冬を越すための移住」「通気孔」「消化される」などなど、それらのフレーズが舞を踊っていた。入ろうとしてもはねつけられてしまう脳みその内部にみずからの居場所を見つけようとするように。が、この状況ではそれも仕方のないことだった。生きた魚を食べることに始まって、輸送手段として生きたまま食べられるに至った。スコッティは今、根ミミズの体内にいるのだ。 スコッティは執行の決断を下し、気を失った。 スコッティはだんだんと目覚めていった。女性の温かい腕に抱かれるという美しい夢を見ながら。にやけた顔で目を開けると、一気に現実の居場所に引き戻された。 根ミミズはあいかわらずの猪突猛進ぶりだった。愚直なほど前へ前へと、根っこをなぞるように進んでいたが、もはや闇夜の飛翔という感じはしなかった。そう、早暁の空のようだった。ピンクと赤。スコッティは、赤粘土を見落とすなというゲムラスの言葉を思い出した。ギデオンに近いのだ。手順に従えば、今度は泡を見つけなくてはならない。 泡などどこにも見あたらなかった。根ミミズの体内は今でも温かく快適だったが、スコッティは土の重さを感じるようになっていた。「パニックになるんじゃないぞ」と、ゲムラスは言ったが、アドバイスを聞くことと理解することではまるで次元が異なるのだ。スコッティが身もだえしだすと、内なる圧力が高まるのを感じたのか、モンスターは速度を上げはじめた。 そのときだった。スコッティが頭上を見やると、か細い泡状の螺旋が渦巻いていたのだ。どこかの地下水流からわいてきた気泡が、泥の中をまっすぐに、根っこをくぐって表面まで連なっていた。根ミミズがそこを通過する瞬間に、スコッティは渾身の力で体を押し上げ、モンスターの薄い皮膚を突き破った。気泡が彼の体を勢いよく押し飛ばし、一度もまばたきすることなく、スコッティはぬかるんだ赤い泥から飛び出した。 二人の青白いアルゴニアンが、網を手に、近くの木陰に立っていた。控えめな好奇心でもってスコッティのほうを見ていた。網の中では、ふさふさの毛が生えたネズミに似た生物が数匹、もぞもぞと動いていた。スコッティがこの生物に気をとられていると、もう一匹が木から落っこちた。スコッティはこうした風習に詳しいわけではなかったが、どうやら釣りをしているらしかった。 「あの、ちょっといいですか」と、スコッティはつとめて陽気に言った。「ギデオンのある方角を教えていただけません?」 アルゴニアンはそれぞれ「焚きつけしもの」および「丸めた若葉」と自己紹介すると、質問に戸惑いを浮かべて顔を見合わせていた。 「だれに会う?」丸めた若葉は訊いた。 「たしか名前は……」と、スコッティは言った。とうの昔に紛失したギデオンの連絡先ファイルのページを頭の中でめくりながら。「『右足岩の支配者』?」 焚きつけしものがうなずいた。「5ゴールド、道教える。ずっと東。ギデオン東の大農園。とっても素敵」 この2日間で最高の取引だと考えたスコッティは、焚きつけしものに5ゴールドを手渡した。 アルゴニアンの先導でぬかるんだ一本道を進んでいき、アシの草むらを抜けると、はるか西方に広がるトパル湾の鮮やかなブルーが見えてきた。スコッティは、明るい真紅の花が咲き乱れている外壁に囲まれた壮麗な屋敷を見渡すと、なんてきれいなんだろう、と考えている自分に驚いた。 その街道は、トパル湾から東に向かって勢いよく流れる小川に沿って続いていた。オンコブラ川だとアルゴニアンが教えてくれた。ブラック・マーシュの中心の薄暗い奥地まで流れているという。 ギデオン東部に広がる大農園を柵越しにのぞきながら、スコッティはほとんどの畑地が手入れされていないことに気づいた。収穫期を過ぎた腐った作物がしおれた蔓にいまだにぶらさがっていた。荒れ放題の果樹園に葉の枯れ落ちた樹木。畑地で働くアルゴニアンの農奴は痩せていて、弱っていて、半分死人のようだった。理性的な生命体というよりもさまよう亡霊のようだった。 二時間後、3人はとぼとぼと東へ向かう旅を続けていた。屋敷は少なくとも遠めには立派に見えたし、街道は雑草だらけながらもがっしりとした造りだったが、それでもスコッティは畑地の農奴と農作物の状態にいらいらし、おののいていた。この地域に尽くそうという気持ちは失せていた。「あとどのくらいなんですか?」 丸めた若葉と焚きつけしものはお互いの顔を見合わせた。そんな質問など思いつきもしなかったと言わんばかりに。 「右足岩の支配者、東?」丸めた若葉は考え込んだ。「近い、遠い?」 焚きつけしものは煮え切らない態度で肩をすくめると、スコッティに言った。「あと5ゴールド、道教える。ずっと東。大農園ある。とっても素敵」 「当てずっぽうなんだろう?」スコッティは叫んだ。「どうして最初にそう言わなかったんだ。べつの誰かに訊くこともできたのに!」 前方の曲がり道のあたりからひづめの音が響いてきた。馬が近づいているのだ。 スコッティは音のするほうへ歩いていき、乗り手を止めようとした。焚きつけしものの鉤爪がきらめき、そこから呪文が放たれたことには気づかなかった。か、体ではそれを感じた。氷のキスが背筋をなぞると、腕と脚の筋肉がいきなり硬直して動かなくなった。頑丈な鋼に包まれたようだった。スコッティの体は麻痺していた。 麻痺状態で何よりも悲惨なのは── 不幸にも読者の方はここで知ることになるのだが── 体がまるで反応しなくても目は見えるし、頭もしっかりしているということだ。スコッティの頭を突き抜けた思考は、「ちくしょう」だった。 もちろん、焚きつけしものと丸めた若葉は、ブラック・マーシュのたいていの素朴な日雇い労働者がそうであるように、卓越した幻惑師だった。それに、帝都の友人であるはずもない。 アルゴニアンたちはスコッティを道端に突き飛ばした。馬にまたがった乗り手が角を曲がってきたのだ。 やってきたのは堂々たる貴族だった。その鱗のついた肌とそっくりな色をした、きらびやかな深緑色の外套をまとい、体の一部とつながったようなフリルのついた頭巾をかぶっていた。角のついた冠といった趣だった。 「こんにちは、兄弟!」と、その貴族が二人に向かって言った。 「こんにちは、右足岩の支配者」と、二人は返事をした。それから、丸めた若葉が付け加えた。「今日はいい天気、どんな感じですか?」 「忙しい、忙しいよ」右足岩の支配者は威厳に満ちたため息をついた。「女の農奴のひとりが双子を出産したのだ。双子たぞ! 幸いにも、双子でもかまわんという商人が街におったし、女もさほど面倒をかけることはなかった。それがすんだと思ったら、今度は帝都のまぬけの相手だ。ヴァネック卿の建築委員会の代理人とギデオンで会う約束なのだ。財布の金をばら撒かせるには、仰々しい視察に連れていかなければならんだろうな。まったく面倒をかけてくれるわい」 焚きつけしものと丸めた若葉はさも気の毒そうな顔をしてから、右足岩の支配者が馬で走り去ると、獲物のようすを見にいった。 彼らにとって不運だったのだ、ブラック・マーシュでもタムリエルのその他の地域と変わらないほど重力が働いているということだった。二人の獲物、デクマス・スコッティは、置き捨てられた地点から転がり落ちて、そのときにはもう、オンコブラ川でおぼれかけていた。 物語(歴史小説) 茶2